海外に持っていくべきもの

海外で必要・あったら便利なアイテムを紹介します!

旅の良き仲間

連れて行くなら

 

長期旅行に出かける時は、

本を持って行くことを忘れない。

もちろんイタリアの1年間の留学でも

何冊か見繕った。

 

 

旅に連れて行く本を選ぶポイントは、

現実とあまり別世界にならないもの。

 

ヨーロッパに居ながらにして

江戸古典落語は気持ちが入らない。もしくは現実世界に戻りにくい。

はたまた推理小説や恋愛ものだと、物語が気になりすぎて旅どころじゃなくなる。

旅のお供にするなら、

旅紀行や伝記といったその土地や風土に近いものがいい。

 

 

 

今週のお題「読書の秋」

イタリアに持ってきた本の中で、

一冊はドイツ〜スイス〜オランダの一人旅にまで同行させた、

私の中で大当ヒットした作品がある。

 

 

自転車で世界一周を目指す少年の実話だ。

 

 

 それがコレ

 

 

十六歳のオリザの冒険をしるす本 (講談社文庫)

 

 

劇作家 平田オリザ氏 (1962年東京都生まれ)

16歳の時に実行した自転車世界一周の話。

 

少し変わった両親の下、少し変わった少年が生まれた。

作家であった父親の影響で、大人向けの本まで手にし視野を広げる。

中学生の頃に行った一人旅に味を覚えたことから、海外へと夢を膨らませる。

1975年当時、高校生が気軽に海外へ行くことも

一般的にはあり得ない時代。

高校の定時制に通う少年オリザは、自転車で旅をするための

勉強や下準備を念入りに行うことはもちろんく、

どのルートでいつ頃どこへ到着するなどといった計画を

非の打ち所がないほど完璧に行った。

その熱意に両親も応援することしかできず見送る。

 

アメリカからイギリス、ヨーローッパ各国、ギリシャ、トルコ…

全26ヶ国 2万kmに及ぶ自転車の旅。

 

親切な人との出会い、危険との遭遇、各街のレポートなど、

高校生の文章とは思えないほど秀逸でありながら親しみやすい。

感情や風景の描写は目に見えるようで、供に旅をしている錯覚を起こす。

 

 

私は、ヨーロッパの旅仲間にこの本を選んだ。

約40年前にオリザ少年が走り抜けた道を追随する。

見える景色と本とが合致した瞬間に

本の世界へ入り込むかのような不思議な体験をした。

 

一人旅を寂しい・怖いと思う瞬間はなく、

思いっきり空気を吸って、街や文化をも吸収したくなるほど

貪欲に歩き回った。

 

 

 

そして、チューリッヒからフィレンツェまでの

6時間の列車の中で、読破し私の旅も終わりを告げた。

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